雨の降る寒い壱日
2025, Mar 17
雨の降る寒い壱日。今日はデイサービスが休みの日で、エアコン代を考え風邪の治った母を仕方なく自室に呼ぶ。
炬燵がなくても、電気カーペットで充分足腰は温かくなるそうだ。其処でBSテレビをずっと観ている。其れも刑事ものと時代劇ばかりを。原作が池波正太郎や藤沢周平だったり勝新太郎や三船敏郎が出ていたりするものは自分も好んで観るが、母の好きなのはそうでないのが多く、一緒には過ごせない。
母はあたしの自室で、自分は台所の卓で、好きに過ごす。
病気してからは彼も寒い日は炬燵のあるあたしの部屋で過ごしていた。ノートパソコンでよく動画を観ていた。ビートルズのドキュメンタリー映画だったり、ローリング・ストーンズのライブ映像だったり。あたしはあたしで編み物をしたり読書したり、好きにしていた。
飲み会で彼と隣同士で座ったとき、知人が周りに、見てこのふたりは自然だからと言われたが、そのときは何のことかわからなかった。後になり、一緒にいると疲れて仕様がないと自分が母に対し想うように、夫婦でも一緒にいると気を遣い疲れてくる場合もあるのだと知った。そう云うことを想ったことも考えたこともなく、自分は彼と過ごしていた。
顔をあげ目線を左に向ける。彼のまなざしと雨の音がやさしい。