欠片
2025, Jul 29
木苺のジャムを混ぜ凍らせたヨーグルトがあっと言う間に無くなっていく。八月が近付いている。
ひまわり、冒険者、八月の鯨、・・・と好きな映画を想い浮かべてはランブルフィッシュで止まるのは毎年のこと。パターソンは録画したテープさえないけれど、鴉の飼育とランブルフィッシュはVHSテープに残した筈だった。テープが残っていてももう観る術はないけれど、自分の記憶にしか残っていないのは少し淋しい。
欠片があるだけでも満たされると知った夜。禁断の扉を開けるかのよう、冷蔵庫の扉をほんのちょっと開けては閉じる。真夜中の冷蔵庫が不思議な雰囲気をかもし出しているのには訳があるのだろうか。
あたしの持つ冷蔵庫のずっと奥に見える南の島はふたつに分かれている。ひとつはバリの村、ひとつはゴーギャンの画。手前でふたつを見ているのが好きで、奥まで行ったことはない。其処が自分の場所だと想っている。
今夜は冷蔵庫にギターピックを入れてみようかと想ったのに、いつの間にか眠ってしまっていた。