ささやかな
2025, Jun 12
錆付いた鋏を砥石で磨き、襟ぐりが合わないTシャツを直す。
日々のそう云ったことが、生きていたくない気持ちから掬いあげてくれる。
届いたCDは、ジャケット寫眞からして映画の壱場面のようで引き込まれた。
拾代廿代の頃夢中で聴いていたバンドも、途中から全く聴かなくなってしまったと云うことは珍しくない。若い頃は感覚のみで聴いていた。バンドが時を重ね身につけていったものがあるように、齢を重ね身につけていったものが少しは自分にもある。今も変わらず聴き続けているバンドの歌は、自分が何を削ぎ何を拾い上げどんな大人になってきたか教えてくれるように想う。
塩バターラーメン。台所に立ったとき或のとき彼が頼んだものが蘇り、そんなものまで憶えている自分に笑う。
幾つものささやかなことが集まりできた細い絲があたしのこれまでの日々。切れそうでいて切れない、長い物語。