おすそ分け
2025, Jun 16
外へ置いた亀たちの様子を見に玄関を出ると、亀の水槽の蓋代わりにしている網に袋に入った枇杷の実が置かれていた。
枇杷の樹が植わった弐軒先から届いたと見当はついたが、念の為防犯カメラを確認すると間違いなかった。亀に興味を持ったらしく腰を屈め窺っている姿が可笑しくも可愛らしい。
彼が好きだったと想い、袋から枇杷をとりいっとう大きいのを差し出す。そして自分も口に入れる。あまくやわらかな実。
こう云うのがいい。枇杷がみずみずしいのは、今洗ったからじゃあない。
枇杷の実の空いた袋には玉葱をいつつ詰めた。其れをもうひと袋こさえた。
玉葱は今朝いとこから届いたものだ。皮が上の方まで付いている。後で結わえて吊るしておこうか。採りたての玉葱はあまい土の匂いがする。
弐軒先と前にレタスを戴いた肆軒先の家まで玉葱を届けに、手提げ袋を肩に掛けサボサンダルでてらてら歩く。
角に咲いた真っ白な紫陽花に、こんにちはと声を掛けた。