安住の地
2024, Nov 28
目覚めても部屋の中は暗く、明かり窓が微かに色を変えた様子に朝になったと気付く。此の頃陸時半にならないと眼が覚めなくなってしまった。夏との壱時間の違いに壱瞬慌てたあとで、塵出しに間に合えばいいのだしとゆっくり廊下を歩いていく。奥でばたばたと音がする。
小さい方の亀はいつでも朝が早い。どの季節でも早起きだ。待ってた、とでも言いたげにこちらを見ている。餌が欲しいだけだと知っていても、其の仕草に全力で守ってあげたい気持ちにさせられてしまう。
新しい場所にはどの手提げ袋に入れていこうかと考えている。此処に来るときは自転車に乗せて連れてきた。
越してきたばかりの頃、小さい方の亀はきゅうきゅう鳴いてばかりいた。あたしと同じ神経質なんだろうか。またそんな想いをさせてしまう。
拾ったことが良かったのかどうかは今もわからない。ただ拾った後すぐに颱風で川が溢れ辺りが埋まってしまったことを想い、悪くはなかったと自身に言い聞かせる。
自分と一緒に住む場所を安住の地だと想ってもらうしかない。