例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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時間


 ひとりで笑う時間。彼と逢う時間。亀たちと遊ぶ時間。カエルの人形たちと過ごす時間。現在と過去。現実と感覚。全て此の家に納まり、混沌としつつも時間は秩序が保たれている。此処に突然誰かが訪ねてきても、時間は乱れることなく流れ続ける。
 昨日降り出した雨は止み現れた風。シャッターを閉めうす暗くなった家が作る静かな空間で深い呼吸をする。速度を変える時間が停止したときの姿が好き。瞬間を意識すると、カップの渕まで愛おしくなる。
 全部見ていたい。眠りたくない。ときどきひとりで子供のように駄々をこねては布団に入る。

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白い櫻


 曇り空、土手の櫻は霞んで見える。それとは対照的に花瓶に活けた八重の櫻はまるで意思表示をしているかのよう、輪郭を示している。
 余りにも白く大振りな花に最初それが何の枝かわからなかったけれど、此の家に来て口を閉ざしていた枝が笑うまでにそう時間は要らなかった。花瓶に納まり窓から入る光を受けた途端表情がゆるみ、櫻・・・、と放たれた声が聞こえた気がした。

 バケツに枝をみつけ家に誘い、両手で抱えて家まで歩き、ふたつの花瓶に活ける。其れも素敵。
 毎年毎年大きな染井吉野の樹を見上げていた。それがいつしか白い山櫻になり、今では遠くなった櫻。
 変わっていくことを恐がりたくない。

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 櫻も今は遠くから見るだけ。
 いつかまた寫眞に撮ったりするような日も来るのだろうか。

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珈琲豆の入れ物


 ビニイル袋に入って届いた珈琲豆の保存に、DRINK BOTTREと文字装飾の入ったポリプロピレン製の筒状の入れ物を選んだが、持ちやすく軽く蓋も開けやすく豆も取り出しやすい。
 以前はマカロニを入れ使っていたが、珈琲豆を入れると更に見た目が可愛らしくなり、黒い方も可愛らしいけれど透明なものをふたつ買ってもよかったかななどと想ってしまうほど気に入ってしまった。

 ひとつひとつ珈琲豆の色が違う。其れを見ているだけでも愉しい。そうしていると聞こえてくるのは、よかったね、と言う彼の声。
 悦ぶことを壱度でも否定された覚えがなく、いろいろなことを少しづつ変えながらあれからも日々を続けている。入れ物が変わっても、珈琲豆を取り出す都度、あたしに匂いを嗅がせようとする彼の姿はきっとこれからも変わりなく。

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色彩


 購入したのは、白い絲で刺繍がほどこされたうす紅色の春用のスリッパ。たまには明るい色もいいかなと想い。
 足元にまとわりつく亀に困りながらもどうするわけでもなく、茹でたブロッコリーを保存容器に移す。鮮やかな緑が眼にまぶしい。

 正午になり陽射しが入り現れた床の色彩の豊富さを、彼も是も樹木の色としか言えない自分にがっかりする。
 今日割烹着の下に着たのはフランネルの白いシャツ。けれど、それだって白と言ってしまうにはもったいない仄かにきいろがかった白い色。

 色にも音があるのか、たくさんの色が周りにあると賑やかさに耳をふさぎたくなる。旋律でなく演奏を聴くことに偏っているかと想うあたしの耳。おそらく眼も。
 好きなのは例えればキース・リチャーズのギターのような色彩。そう言って色を足したり引いたり。

 このまま履き続けても気持ちが疲れることなさそうなスリッパ。脱ぎ捨てておいたら、亀がベッドにし眠ってしまった。

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