珈琲の香る部屋
2025, Jun 03
珈琲ポットを割ってしまい、新しく購入しようと想う珈琲ポットの寫眞を彼に見せると、「どうぞ。」とひと言。余程のことでない限り彼は否定しない。
今朝はインスタントコーヒーになった。
明日はどうしようかと想い、アイス珈琲用のポットを出した。此れは彼がみつけて購入したもの。
出したはいいが、蓋が開かない。廻すのだったか持ち上げるのだったか、どうにも開かず泣きたい気持ちになる。これ以上無理、と想ったところで蓋は動いた。
そろそろ冷たい珈琲をと躯は想っているのだろうか。おやつに珈琲ゼリーを選ぶ。
冷凍庫を物色し、最中アイスをみつけ、皮と中身をばらし珈琲ゼリーに乗せた。其れを見て、自分も、と強請る彼。またそんなことをして、なんて決して言わない。
珈琲用の道具は最初彼が全て揃えた。あたしは其れをなぞって覚えた。
けれど、珈琲が好きだったのはあたしで、彼はあたしにつきあううち好きになったのだと想う。
珈琲の香る部屋はたくさんのものが詰まっている。あたしは其処で今も笑っている。