紫陽花
2025, Jun 02
朝、北側のシャッターを上げに外に出ると、弐軒先の方もシャッターを上げに外に出ていたようで、会釈をする。相手の方もこちらに気付いたようで、笑顔で返してくれた。
以前の生活ではなかったことだ。
地元の野菜が売られている店でみつけたのは、赤紫のノコギリソウに白い莟のノコギリソウ、それとガクアジサイにまだ白い紫陽花の花束。
帰宅し早速花瓶に活け、ひとつは父の傍にひとつは彼の傍に置く。こんな花を活けられるなんて想ってもなかったと嬉しくなる壱方、母にも見せたいと想い複雑な気持ちになる。
雑記帳に日々を記す筆記具の色を、ブルーブラックからライトブルーに替える。かじかむことのなくなった指。それなのに萬年筆にインキを入れられない。
動いていないようで動いていて、動いているようで動いていない自分の気持ちに、悲しむでもなく焦るでもなく励ますのでもなく、委ねるまま紫陽花に頬を寄せる。