例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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紫陽花


 朝、北側のシャッターを上げに外に出ると、弐軒先の方もシャッターを上げに外に出ていたようで、会釈をする。相手の方もこちらに気付いたようで、笑顔で返してくれた。
 以前の生活ではなかったことだ。

 地元の野菜が売られている店でみつけたのは、赤紫のノコギリソウに白い莟のノコギリソウ、それとガクアジサイにまだ白い紫陽花の花束。
 帰宅し早速花瓶に活け、ひとつは父の傍にひとつは彼の傍に置く。こんな花を活けられるなんて想ってもなかったと嬉しくなる壱方、母にも見せたいと想い複雑な気持ちになる。

 雑記帳に日々を記す筆記具の色を、ブルーブラックからライトブルーに替える。かじかむことのなくなった指。それなのに萬年筆にインキを入れられない。
 動いていないようで動いていて、動いているようで動いていない自分の気持ちに、悲しむでもなく焦るでもなく励ますのでもなく、委ねるまま紫陽花に頬を寄せる。

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