今年の西瓜
2025, Jul 25
今日は微熱があると説明され部屋に入る。呼びかけても眼を閉じたままの母。指に指を絡めると反応がある。躯を撫でたりしては、ときどき反応のあることに安堵し、部屋を出る。
帰りに食料量販店に立ち寄り、カップに入った西瓜を買った。
夏だからみんな気をつけて、と汗だくになった服を放り投げ西瓜を食べる。みんなは自分であり夫でありカエルの人形であり父であり、母だ。相手が何処でどうしていようとあたしは西瓜を差し出す。
今朝は母の部屋を掃除するのに久し振りにベッドを動かした。
母が寝起きしているときは問題なかったが、窓の開閉がベッドに乗らなければできず、動かす必要があった。掃除にはベッドを玖拾度動かしたかったが、母がトイレに行くのには今の方が都合が良いので向きはそのままにした。
ベッドの位置をずらした分家具の置き場所も替わり、窓からの光が上に乗せた人形や引き出しの中身をはっきり見せる。
ほらっ、と言うと、母の笑顔が見える。西瓜おいしい?、と訊くと、兄が生きていた頃は毎年大きいのが幾つも、と返ってきたので、まあまあとなだめておいた。