書架をばらす
2024, Jul 25
ふたりで最初に購入した家具が、彼の部屋に置いている書架と和室に置いている箪笥だったかと想う。実際安価だったが、如何にも安っぽく見える此の書架があたしはだんだん気に入らなくなっていた。
ロッカー箪笥と一緒に此の書架も処分するつもりだった。が、昼間やってきた雷雨の恐怖心に駆り立てられ、気が付くと書架に収まっていた取り敢えず整理しただけのものを取り出し、鋸で横半分に切っていた。負けない。何故かそんな想いで胸はいっぱいになっていた。
丁度切り終えた頃雷雨は治まり、玄関の外に出し、今度は板毎にばらしていった。壱辺が玖拾センチ以下になったので、このまま塵に出せるが、拾歩先の塵置き場と言え運ぶのがたいへんそうだし、大きな物をふたつも置かれても困るだろうと想った。
ばらしてみて初めて釘もネジも使われてなく、大きなホチキスで固定されていたのだとわかった。板も厚いベニヤ板と云うのか木屑を固めたような板と云うのか、お粗末なものだった。何故こんなものを使い続けていたのだろう。
扱える大きさにしまとめて紐で縛ると、容易に持ち運びのできるふたつの塵になった。あたしにもできました、と言い彼の前に座り塩とライム果汁で割った水を飲む頃には清々しい気持ちになっていた。
嫌なものはできるところまでは自身で。何より自分が整理されていく。