例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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勝手な人たち


 母との面会を心待ちにし病院に着くが、時間になっても叔母が現れず受付を済ませ案内されるのを待っていると、なんと面会中だと知らされる。それもふたりで。叔母が勝手に叔父を呼んでいたのだ。
 あたしが怒ると、(空き巣は叔父だと想っている母の)話を信じているのかと叔母が訊くので、母は関係なく自分がだ、と伝えると、叔母はあなたとは話したくないと言うので、あたしもです、と返事をした。
 面会の話は直接でなくいとこを介してだった。叔父も叔父で、空き巣の件は警察にも来て貰って自分でないとわかった筈だ、と言う。叔母は叔母であたしが叔父だと想っていなければこちらに黙って叔父を呼ばないだろうし、また初めから叔父を呼ぶつもりで直接連絡をしてこなかったのだろう。叔父も叔父で確固たる証拠がなければ(また親族の場合警察が入り辛いことも)とわかっているからこそ堂々と入り盗みを重ね、警察がと云うことしか言わないのだろう。違和感があると、そう云った質の悪さが自然と伝わってくるものだ。

 なんにせよ、勝手な人たちだとしか想えない。叔母は親切でしたと想っているのだろうが、親切は自分が良いと想ったことをすればいいわけでない。相手の気持ちは考えないのだろうか。叔母は壱度もあたしたちの話をきちんと聞いたことはないのに、叔父ではないと言い怒るのが自分には不思議でならない。
 憤慨しながら去っていく彼らに、ありがとうございましたとあたしは一応頭を下げた。相手がどう想ったが知らないが、同じ人間にはなりたくない、と云う意思表示だった。(ふたりを車に乗せてきた冠婚葬祭でしか逢ったことがないいとこ、叔母の娘さんは、目を見て顔を見て少し言葉を交わしただけでも違和感がないと判る人で、勝手に叔母がしたことに頭を下げてくだすったのが救いだった。)

 本来は面会は週に一度、ふたりしかできないことになっているが、今回特別に許可して貰え、病室に入ることができた。入ると、母の左目には泪があり、面会が終わるまであたしはずっと母の手を握っていた。叔母と叔父は母を認知症にしたいようだが、彼らがそう想いたいだけに過ぎない。
 むくみがとれ、随分躯が細くなったことがよくわかる母に無言で、叔父は勿論、叔母にも母には弐度と逢わせないと伝えた。逢わせるのは母に壱日でも長く元気であって欲しいと想ってくださる人であって、決して死ぬ前に壱度逢っておこうなどと云う者たちではない。そう云うことまで叔母と叔父に見えるようになってしまった。此の針の穴のようなものを早く塞ぎたく、日記に綴り気持ちを整理し、終わらせようと想った。

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