例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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風の止んだ日


 久し振りで風が止んでいる。
 亀たちを外に出し土手へ出掛ける。今朝は川の向こうに富士の山は見えないけれど、菜の花は満開になっていた。散歩にいい道順だと想い土手の道を歩く。

 此の冬はセーターを壱枚編めばいいかと想っていたけれど、厚手の簡素なカーディガンがもう壱枚欲しくなり昨日から編み始めた。明るい灰だと想っていた色は編んでみると青みが掛かっていて、さしずめ深川鼠色と言ったところだろうか。彼に編んだ灰色のカーディガンと同じ色だと想っていたのに、合わせてみるとはっきり違いが判った。
 母に何か言われるのが嫌で彼のものは余り出していない。他人にそっとしておいて欲しい部分と声を掛けてもらうと嬉しい部分とがある。誰に判るわけもなく、電源を落とすかのよう全ての回路を断ち切って短絡しないよう努めている。

 少しづつ人は変化していくものだけれど、流されて変わりたくはない。
 頑な自分に笑い、時折彼に話し掛けては花の咲く道を今日も歩いていた。

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別の世界


 何処ぞの屋敷の広間に数人でいた。あたしの手は彼に繋がれていたが、そのうち手はほどかれ彼はひとりで階段を上っていってしまった。後に残ったのは女性ばかりだった。彼女らが別の部屋に移動するのを見て自分も途中まで後を追ったが、何だか付いていく気がしない人たちに想え付いていくのを止めてしまった。
 自分は何処にいれば良いのか迷ったが、移動の途中みつけたテーブルと椅子が数脚置いてある部屋にいることにした。其処で椅子に座っていると、誰かひとりやってきた。彼だろうか・・・、と想ったところで夢から覚めた。

 夢から覚め布団の中で折角知り合っても嫌な気持ちにさせられる相手は女性ばかりだと想っているうち、夢をもうひとつ見ていたことを思い出した。

 夢の中で母とあたしは米屋にいた。母が米をひと袋買うと、いつのまにか傍にいた叔父が米を抱え持っていこうとする。母が止めると、俺は困っているんだと自分を正当化しそのまま米を持っていこうとするので、あたしが間に入り叔父を止めた。
 あたしが米を奪うと、叔父は米屋の土間に胡坐をかき腕組みをし、俺の何処が悪いのだと大声であたしを責め始めた。それであなたは幾つになったら何が悪いか良いか判るのだと問うた。そうして続けて質問をしていくうち、叔父は何も言わなくなった。
 そう云う夢だった。

 そうして布団の中であたしは想った。
 己の損得を考え陰で他者を排除してまで自分の有利に立ち回る女性達と自分の非を話をすり替え正当化する男性達のことを。いつしか別の世界に生きるようになった生き物たちのことを。

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にゃんこと亀


 今日は猫の日だそうで、立ち寄ったコンビニエンスストアの棚に猫の絵が描かれた袋に入ったパンや菓子が置いてあった。
 にゃあや先生は元気だろうか、と以前の生活を思い出す。此処では毎晩のように防犯カメラの前を横切っていく猫はいても、知り合いになれそうな猫はいない。と云うか猫の姿を見ない。
 母にどら焼き、自分にカスタードクリイムの入ったメロンパンを買う。が、帰宅すると彼に供えていた。
 あ、やっぱり買いに行ったんだあ、なんて笑っている彼。違います、と否定したあとで、猫はずるいよ猫は反則でしょう買いたくなるもん、と頬をふくらます自分。にゃんこ飼いたいにゃあ、と言うと、亀が食べられちゃうよと返してくるので、亀食べてみたいにゃあ、と人差し指を咥える。
 いつも通りの会話。何度も繰り返している会話。何度しても同じになってしまう会話が今も続いている。

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ひねもすのたり哉


 夕刻玄関先の軒下に置いた亀たちを迎えに行き声をあげた。大きな亀の方の水槽が汚れている。秋以来眼にする亀のうんちに驚いて、うんちうんち其れうんちでしょううんち・・・、と何遍も口にしてしまい慌てて口に手を当てる。それからゆっくりと彼を探す。
 立派なうんちだねぇ、春(はすぐそこ)だねぇ、よかったねぇ。嬉しそうな彼の声を聞く。
 特に大きい方の亀ときたら心配したのにあれから目をぱちりと開けている。春の海でなく、いつしか亀たちに想うようになった。(弥生の声を聞き)ひねもすのたり哉。寒波も忘れてしまう。

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いい天気


 町役場は多くのことを担っている。譲渡や相続所得等でない限り申告も其処でできると知った。
 順番をとり受付をし指定時間に再度行かなければならないのは是までと一緒だったが、椅子は拾脚ほど並んでいるだけで人も少なく然程待ち時間もなく、受付では親切にも用意するものの確認がありファイルまで渡された。そうして指定時間になり中に通されると、机ひとつにパソコン付きの税理士がおられ、質問しながらパソコン操作等全てしてくれたうえおかあさんと同居しているなら扶養にした方がいいと勧めてくれた。同居していなくても、同居し世帯主が自分でなく健康保険の支払い等が自分名義でなくとも、扶養にできるとは恥ずかしながら知らなかった。
 御蔭で去年同様税金の支払いが零になった。他の税理士さんでも同じだったのだろうか。わからないが、感謝しかない。
 もうずっと横柄な人に会っていない。今日もいい天気。

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