乾燥花
2025, May 01
思い切ってアマリリスの茎をひとつ切り、花瓶に活ける。其処に蔦の葉に似た枝を添えた。随分豪華になりました、と父の傍に置くが返事はない。いつものように黙って繁々と眺めているので、新しく淹れたお茶をそっと差し出す。
そしてスターチスやこでまりを活けたもうひとつの花瓶には、鉢植えから大きな赤い花をふたつ折って足した。名前はわからない。こちらも随分華やかになって、と彼に笑いかける。
珈琲を飲みコンビニエンスストアで買ったあまい菓子を食べ、CDを聴く。
こんなときはNOKKOばかり聴いていると想っていたのに、考えたらhàlの「二十歳のころ」を壱番聴いてきたかもしれない。
「ねぇ、おぼえていて、わたしもう二十歳になること、・・・。」
変化は突然訪れる。
もしかしたら今の方が拾玖歳のころの自分と密接に繋がっているかもしれない。
アマリリスも素敵なら、色褪せて趣を得た乾燥花も素敵で、時があたしの内で溶けて混じりあっていく。