新旧
2025, Mar 03
新しい関係になんとなく違和感を覚え離れることにした。
汚れのあるふたつの匙は棄てられず、元に戻した。
弐箇月を過ぎても炊飯器の置き場所がいまひとつ気に入らず、朝から胡桃の卓の脇に置いた父の残した縁台を自室と台所を区切った背の低い壁の前に移動させた。上に乗せていた調味料のストックを入れた籠や梅干しの入った容器などはそのまま、炊飯器だけ彼と使っていた小さい方の食器棚の上に置くと台所が少しすっきりした。
弥生の始まり、新旧が入り混じりあたしを迎える。引き出しからベリィとアプリコットの香るお茶の袋を取り出して、カップに弐杯分淹れた。
今日も菜の花のゆれる土手の道を歩こうと想う。