花摘み
2025, Mar 02
土手の菜の花を失敬する。自宅以外で花を摘む都度学生の頃を思い出す。
畑に咲いていた金雀枝の脇を自転車で通る都度あたしがじっと見ているものだから、摘んでいいと誰も通らない今だ、と一緒に通学する友人が勧めるので失敬してしまったが、失敬した自分より友人が悦んでいた。
其の後彼と出逢いふたりで過ごすようになり自転車で出掛けると、春は決まってれんげ草畑に入り込むことになった。
自分がすることを自分以上に悦んで見ていてくれる人は素敵だ。
袋にいっぱい摘んだ菜の花を帰宅し花瓶に活けた。それもしまい込んで壱度も使われていない信楽焼の花瓶に。随分色合いのいい風情のある花瓶を使わないなんて勿体ない。
とっておきをしまい込むことなくあたしは使うだろう。友人との春の壱場面を惜しむことなく絵にでも書いてみようかなどと想ったりしている。