例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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櫻の咲くころ


 早くも誕生日を祝う葉書きが届き呪いたくなる。
 自分の齢はどうでもいいが、彼と一緒に過ごすようになってから幾日長く自分の方が過ごしてしまったかを考えると泣いてしまう。それでも彼とケーキを食べようとか、新しく服を購入し見せようとか、みつけた櫻の咲く場所に誘ってみようとか、考えている。

 棚を買ったのに、寒いせいもあって整理が進んでいない。もう壱度カセットテープを聴いたり彼の記したものを読もうと想ったのに、何もできていない。毎日使っていたふたりの珈琲カップも使っていない。
 ただ湯呑み茶碗は出した。彼の分、ひとつきりしかない或の湯呑みを。

 今年も、櫻の咲くころ、あたしは櫻の下を歩いているだろう。カメラを携えているかどうかはわからない。それと此の先自身の寫った寫眞が増えることはないのではないだろうか。
 彼が寫したあたしは仏頂面をしていたり頭に亀を乗せていたりと、全く無邪気で時が止まっている。

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