例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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ひとりの時間


 熱はないものの昨夜から母は咳を出すようになった。デイサービスを休む電話を入れ、クリニックに薬を出して貰うよう電話を入れる。
 思いがけず午前が埋まってしまい、昼食を食べた後で急いで昨日指定された書類を作り簡易書留で送ろうと玄関を出ると、丁度出くわした隣家の人に声を掛けられた。そこで参日前に奥さんが亡くなったと知らされた。自分と変わりない齢。普通にしていらっしゃるが、ダンナさんはどんな気持ちだろう。ダンナさんと一緒に暮らしている奥さんのおとうさんはどんな気持ちでいるだろう。

 日々は慌ただしく、処理しきれない気持ちが溜まっていく。
 ひとりの時間があればあるほど泣く時間も思考の停止も増すけれど、静かな気持ちになる時間も増す。たいした刺激も受けず、淡々とした日々が暫く続いてくれるようにと願ってしまう。
 (日記を記す時間は結構しっかりして落ち着いた自分でいると想っていたのに、先日読み返してみたら言い回しがわけのわからないことになっていて少々へこんだ。)

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雪景色


 昨晩はよく眠れたらしい。目覚めて外の様子を窺うと辺りは白く染まっていた。着替えて弐階に上がり窓を開けると屋根に雪が積もってはいたが、雪は小雨に変わり眼の前の駐車場に雪は見当たらなかった。
 夜更かしの彼がいればあたしはカメラを抱えひとりで夜更けに家を出て、小さな雪だるまを手にし帰宅しただろう。其れを得意気に彼に見せたあと亀たちにプレゼントしようとして止められるのが、雪の日のお決まりだった。
 壱階に戻り寫した雪景色を彼に見せる。雪だるまはない。シャーベット状になってしまったよ、と言い亀たちに朝の挨拶をしようとすると彼らはまだ眠りの中にいた。
 静かな朝。エアコンの音と湯が沸く音が部屋に響いている。菜の花のきいろが眼にやさしい。

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      郵便箱

できあがった窓辺に


 今日も寒い壱日になり、暖房した部屋で窓掃除を終えた出窓の棚の部分に紙やすりをかけることにする。
 汚くなってしまった焦げ茶色のニスを剥がし、剥がし終えたところに胡桃色の薄めた水性ニスを塗っていく。乾いた頃手ざわりを確かめるとざらざらした感触があり、再度紙やすりをかけるとそこそこきれいな棚になった。
 修復と言うにはお粗末なものだろうが、父の残した縁台や机とも、彼と使っていた胡桃の卓とも、新しく購入した硝子棚とも、調和がとれていればいい。だいぶ大きくなったガジュマルの鉢植えを乗せると、なかなかの窓辺ができあがった。
 少しづつ以前の暮らしに近付いていく。或の家で彼の選んだ胡桃の卓を置いたときの弾んだ気持ちが、自室にした和室の壱角に机と鏡台を置いたときの泣きたくなる気持ちが、鮮やかにあたしに残っている。

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      郵便箱

俄雪


 朝から強い雨の降る寒い壱日になった。
 こんな日はあまいものが欲しくなり、ついついキャラメルを頬張ってしまう。屑入れにしたバケツの中にキャラメルを食べた後の透明な袋が溜まっていく。

 夕刻になると雨は雪に変わった。
 雪が降り始めるとき何故あれほど幻想的な空間となるのだろう。夢を見ているようだと郵便箱の隣で立ち竦んだまま動けなくなってしまった。けれど其れは束の間のことで、雪はすぐに雨に戻ってしまった。
 壱瞬の夢。余りにも果敢なく美しい夢だった。

 夕餉の支度をと流しの前に立つと、花瓶の水を替えたときにそのままにしておいた無数の菜の花のはなびらが雪のように流しの中に覗いていた。
 キャラメルをまたひとつ頬張り、夕餉の支度にとりかかった。

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窓掃除


 気温が上がり窓を掃除したくなり、台所側の出窓を開ける。
 壱度目の改装で床を上げたことにより、弐度目の改装時出窓の高さより流しの方が高いとわかり流しの分だけ出窓の棚を高くしてもらった。流しの脇の階段下の出っ張り部分を塞ぎ壁にしたことと其処から繋いでコンロの奥も壁にしてもらったことで、窓が肆分の壱無くなってしまった。弐佰陸拾メートル残った窓の幅は彩光に問題なく、カーテンレエルも丁度良く付け替えてもらったが、窓掃除の問題が残り、窓を開けたはいいがどうしようと首を傾げることになった。
 流しの上に乗っても奥まで腕が届かず、内側はフローリングワイパーを使い、外側は外へ廻り脚立に上り窓を拭いた。
 結構時間が掛かってしまい台所の窓しか掃除できなかったが、気分が良く、夕食にちらし寿司を用意し食べた。(と言っても人参にしいたけにかんぴょう。それとサラダ用の海老に錦糸卵。さやいんげんの代わりにブロッコリー、買ってあった水煮の筍は入れ忘れてしまった、と云う有様。)

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