新緑がまぶしい。左側により坂道を上る。何度も通い何度も入った建物なのに、席に着くのに遠廻りをしてしまった。着席し足元を確認するも震えている様子はなく、今日はあれが出ていないことを不思議な気持ちで脚にさわる。
　途中感極まり泪を零しそうになったけれど、其れはほんの束の間の出来事。まるで昨日の続きのようなあっさりとした印象のステージと受け取る。此の場所が最後になった廿数年前の或の日と今日が繋がり、空白の時間が無かったようにさえ感じられた。出掛けにシャツをどうしようか迷ったけれど、着替えずに来て正解だったと想った。
　番組の宣伝広告とは言え今朝新聞のテレビ欄の横に彼らの寫眞が載っていたのを妙な気持ちで眺めた。友人知人が見ていたら、嗚呼あのこのことだから観に出掛けただろうなと想ったことだろう。相変わらず、でいいと想う。・・・否、相変わらずがいいなと想う。気負うのでなく、しなやかに、今日の自分と今日の気持ちが明日明後日へと続いていけばいい。