人生最後の
2024, May 17
少し期限の過ぎてしまったランチョンミートの缶詰を開ける。塩分丗パーセントカットと記載されているが、塩辛い。ランチョンミートを崩し細かく切ったアボカドと和え、蒸したオクラと紫蘇でくるみ食べたら塩気が気にならなくなった。
彼はランチョンミートだのコンビーフだの、魚肉ソーセージ、タイカレー、パクチー、アンチョビ、・・・、と酒類と輸入食品の置かれている店に行くと酒と一緒に何かしら買っていた。どれもあたしが口にしてこなかったものだった。
焼いて、其の方がおいしいよ、って言うかな。もう少し待って苦瓜を買ってゴーヤチャンプルを作ったら、とでも言うのかな。
たぶん人生最後のランチョンミートになると想う。全部サラダのようにしてしまった。残りはサンドウィッチにして食べようか。
開けてなかった酒類は差し上げたけれど、口の開いた綺麗な青い瓶のジンは残した。それからウヰスキーとリキュールは、おやつ用に。真似をしてアイスクリイムにかけて食べたらおいしかった。
明日、段ボール箱ふた箱分のフロッピーディスクを塵に出す。此れが何だかよくわからなかった。
彼の友人がお線香をあげにきてくれなかったら、先ず分類毎に仕分けして、と整理しているうち少しづつわかってきてひと月程掛けて処分しただろう。それも悪くはないのだけれど。
彼がいたから知ることができたこと。彼がいたから自分にもできたこと。そう云うものが沢山あること。これからも続けていくこと。たぶん最後だと想うこと。
抱えたものは余りにも重く大きく、家賃を気にしつつ、整理はゆっくりでいいよ、と自身に声を掛ける。