赤ずきんを食べたかった狼
騙す筈が騙されて
辿り着いたのはあたしの家

赤ずきんを食べたかった狼
食べたいものしか食べない
頑固さがあたしと一緒だった

「赤ずきん　赤ずきん　赤ずきん・・・」
『アイスクリイム　チョコレイト　ラズベリィ・・・』
それでふたりはうまくやれる

きみになら食べられてもいいよと言ったら
硬い毛で包んでくれた
赤ずきんを食べたかった狼
何故か今はあたしの嫌いなバナナなんて食べて


赤ずきんを食べたかった狼
性別を尋ねたら
とても小さな声でわからないと言った

赤ずきんを食べたかった狼
人種も國もわからないと
もしかしたら子供かもしれない

「赤ずきん　赤ずきん　赤ずきん・・・」
『苺のケーキ　黒すぐり　きゃべつ・・・』
それ以上でも以下でもない

生肉は食べないの？と腕を出したら
ぺろりと舐めて笑っていた
赤ずきんを食べたかった狼
何故か今は食卓に箸と匙と花を並べて