亀たちの表情
2024, May 06
気温が上がる頃家を留守にすると、亀たちが心配になる。おそるおそる家に入ると、気付いたのか小さい亀がばたばたと騒ぎ始めた音が耳に入る。
想ったより水は汚れていなかった。けれど、食欲はそうでない。あーんて大きく口を開けたり、じーっとあたしの顔を見たり、空腹になっているのが見て取れる。
なんとなく亀のことがわかるようになったように、亀たちの方もそうなのかもしれない。
あたしが育てた猫は、ふみふみの仕草を全くしなかった。かつて唇の内側を噛む癖のあったあたし。嫌がるほど一緒にいることを強いたのではないか、とずっと後になり想ったけれど、帰宅時には待ちかまえていたようにいつも迎えてくれた。何をしても怒ることはなかった。
久し振りに亀に求愛の仕草をされたが、疲れてしまい鏡に代わってもらった。強いられているのは自分の方ではないかと想い笑う。
此の夏も、いつのまにか眠ってしまったあたしの隣で、亀たちは首を放り出して眠るのだろうか。
目を開ければカメラを向ける彼がいて、夢からいつまでも覚めないあたしがいて・・・。これからもそんなふうに過ごしていく気がする。