絹さや
2024, May 04
やわらかな緑はあたしをいつも倖せにする。
今日、取り立てだよ、と手渡されたビニイル袋に入っていたのは絹さやだった。ふれなくても、匂いを確かめなくても、新鮮だとわかる緑色。
通り抜けるとき躯が当たる都度、しゃらしゃらと歌っていた麦の穂。マーガレットとスギナで埋め尽くされていた野原。同じものが増えていったカエルの人形。絶対好きだと想うと言われ贈られた奄美の森の寫眞集。彼と寝転がり見上げた森の樹々。・・・。
植物になりたい、とつぶやいた日々。
引っ越す前に画材店に行ってみよう。緑色の絵具を幾つか揃え、みつめるだけみつめたい。想像しただけで溶けてしまいそう。
今頃家では、掃き出し窓に掛けたうす緑のカーテンがくすくすと笑っているに違いない。