憩う
2024, Apr 30
デジタルカメラで撮影したものを印刷すると、ポラロイドカメラで撮影した寫眞のような正方形の画が出てきた。設定の仕方がよくわからない。
ポラロイドカメラが欲しかったあたしは、正方形の画に悦び、そのまま印刷することにした。インキを入れ換え試しに何枚か印刷する筈だったのに、気が付けば伍拾枚程残っていた用紙が無くなっていた。
景色ばかり寫していたと想っていたのに、彼を寫したものも結構あった。
あたしの寫っているものは其れ以上にあった。パジャマ姿で亀と遊んでいるうち眠ってしまったらしいものが何枚もある。誰にも見せられない寫眞。彼しか知らない自分が其処にいた。
あたしは今も彼の隣で憩う。
好きとか嫌いとかさえも意識から消えてしまった空間に身を委ねると、大好きな夏の匂いが鼻先をつついてくる。いつものようにあたしはカメラを構えシャッターを切る。フイルムは入っていない。これからは胸に残していく。
彼を寫した寫眞が増えることないように、あたしを寫した寫眞が増えることもないだろう。