風がうたう日
2023, Apr 09
夜は明け、空の色は藍に変わり、周囲が見えるようになり壱日が始まる。鳥のさえずりにつられるように燦燦と降り注ぐ陽射し。けれど其れは希望ではない。光は悦びでも希望でもない。
陽が落ちればまた夜は訪れ、辺りは暗くなり、しんとした響きが耳に拡がる。何も見えなくなり手探りで歩く廊下。けれど闇は悲しみでもなく絶望でもない。
風がうたう日。胸に落ち巣喰う小鳥がぼくの悦び。けだるい日も寒さに凍える日も闇に迷う夜も明るい光に満ちた日も。
光に浮かれず闇に屈せず小鳥と共に在るぼくを、初めてぼくは希望と記すだろう。