例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア


 彼の後についてレコードを見ていた。天井のすぐ下に棚があり、レコードは其処に所せましと並んでいた。随分上の方に置いてある店だなと想っていると、彼が階段を上がっていく。あたしは初めての店で勝手がわからず彼を追う。
 階段を上がると、人ひとりが入り口をやっと潜って入っていける箱のような狭い部屋が幾つもあった。其の壱室壱室にレコードが置かれている。下に客はそれなりにいたのに、上には誰もいない。新宿にあったブートレグの店に似てなくもないが、此処には入り口に扉がない。
 彼がどんどん先へ行ってしまい、見失うとあたしはべそをかいて彼を呼んだ。
 そこで目が覚めた。

 以前弐度ほど観た「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」と云う映画がぼんやりと浮かぶ。病魔に侵されたふたりが向かったのは海。途中盗んだ車がギャングのものだったりと仕様もない展開の物語だったと想うけれど、ふたりが愛おしい人物として描かれていたと記憶している。

 もしかすると、あれは天国への階段だったのだろうか。だとしたら、あたしは彼の足を引っ張ったことになる。
 ただ或のレコード店の上の部屋に扉がついていなかった。必死で扉を叩く必要もない。夢で見たことなのに安堵している自分がいた。

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