メキシコ70
2024, Apr 26
洗濯した冬物を引き出しにしまう。加湿器を掃除し炬燵を片付けると、空間を増やした部屋はより空気が感じられるようになった。
冬へ季節が移っていくときの、ひとつづつ物を増やしていく部屋に感じるぬくもり好きなら、夏へ季節が移っていくときの透明感のある部屋もいいなと想う。例えるなら、実際に音楽を耳に入れているときと音楽をふいに思い出したときの心地よさの違いだろうか。
彼が持っていた壱枚、チェリーレッドレコードの「メキシコ70」と云うCDが気になり聴いてみた。調べてFELTのメンバーの人が出したものとわかる。FELTは引っ越し先に持って行かなくていいと想ったのに、迷うことになってしまった。
夏を感じるような日の午后に音楽なんて聴くものでない、と苦笑いが出る。バタフィールド・ブルース・バンドは壱枚選んで持っていこうと聴き直しているが、頭を抱えてしまう。
ライブへ出掛ける気は起こらないものの、此の頃音楽は普通に聴けるようになった。嬉しいのかなんだかよくわからない。気が付くとぼろぼろ泪が零れていた。
チョコレイト(メキシコ70と呼ばれるものではないけれど)をひとつ口に入れ、明日は麻の服を着てみようと想った。