雨天中止
2025, May 03
朝から降る雨は昼過ぎに強い雨になり、母の面会をとりやめた。レインコートを着て門扉まで出ていったのに、家の中へ戻り、無理、と口にする。
雨はしだいに猛烈な雨になり風の唸り声まで聞こえてきた。とりやめて正解だったけれど、これが夫だったらあたしはどうしたろう。
誰にでも同じように接することができない自分は時々鏡になる。
真夏の暑い日。無理しないで、と彼は何度もあたしに言ったけれど、ぎっくり腰になった日も面会に行った。自然にあたしをそうさせてくれた人。
彼の病室。彼が持っていた空気と空間。あたしだけが知っている幾つかのこと。
想いはいつも彼に向かう。