長いすべり台
2025, Jan 23
櫻の森と称される公園があると知り散歩に出掛ける。其処には櫻と想われる樹木が数本立っていたが、それより眼についたのは展望台にもなっている高さのある遊具だった。
階段を上っていき展望台から見下ろすと、周囲には畑が拡がり遮るものがなく遠くの山並みがよく見えた。寫眞を撮るにはすべり台の中央辺りが最適と判り、すべってみることにした。
幸い自分以外に公園の中には誰もいない。ただすべり台はローラー式になっていて、腕と尻を使いすべらないとならなかった。いったい何メートルあるのだろうと云う長いすべり台をすべっていき、途中で山並みを寫眞に撮ろうとするとアイフォンが無いことに気付いた。壱度展望台で手にしているので、すべり台の何処かで落としたことには間違いなかった。
長いすべり台を弐度も滑ることになり躯はすっかり熱くなった。けれど彼と一緒だったら、アイフォンを落とそうが落とすまいが弐度参度と滑っただろう。などとすべり台から立ち上がることもせず考えていると、彼の視線を感じた。
一緒にいて恥ずかしいのか、少し離れたところにいる。あたしの視線を感じたのか、こっちを向いた彼がもういいの?なんて顔をしていたので、軽く手を振った。