薄くなってしまった座布団を幾らかでも元に戻してあげるべく、綿をおおう布の縫い目を少しほどく。千切るようにくっついてしまった綿を離し空気を入れ、と何度か繰り返すと厚みが出てきた。
　綿を洗い乾かしたあとでほぐして形と整えたら、布を被せ真ん中と角を綿を通し絲で閉じ、脇を縫い合わせて座布団にする。・・・と、こんなふうだったろうか。母は面倒なことは壱切したことがなく、教えられても見てもいないのでよくわからない。
　いつか祖母たちがしていたように綿を洗って、などと云うことをしてみたいと想い乍らちょっと空気を入れるだけにしてみた。元のようにはいかないけれど、やわらかくふっくらしただけでも良しとしよう。
　完璧でなくとも、結構間違えていたとしても、自分で行うのは愉しい。数年後に或のときはなんてやりかたをしていたのおー、と驚いたり呆れたりすることさえ。