例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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オウムのいる森


 週に壱度だった森の町通いも弐週に壱度になれば楽になるかと想えばそうでもなく、気を張っている方が躯が疲れないのだと改めて知ることになった。
 診察の予約は午后壱時半からだったので拾壱時に病院に着き採血を済ませ、昼食に握ってきた御飯を食べようかと想い家族とふたり椅子に腰掛け休んでいると、家族が持たされた呼び出しベルの音が鳴ったのは丁度正午の時間だった。今日は待たされるのでなく早い診察だと悦び、暗くなる前に帰宅できたのに疲労感が大きかった。
 帰宅後お茶を飲み、夕食を作らなければと想うがとりかかる気が起こらない。夕食を作る為何をしたかと言えば、オウムの真似事だった。自分を繰り返し繰り返し応援しテンションを上げ、冷蔵庫から鶏肉と野菜を出し牛乳を注げばホワイトルウになる市販の粉を使い簡単なクリイム煮を作り、他も全部簡単にできるものにしてしまった。
 一応病巣は消えたとは言え完治したとは現段階で言えずと言うことで、と頭の中で繰り返す。先はまだまだ長い。それだけ家族の病気は大きかったし、それだけの治療を乗り越えたとも言える。
 疲れたらまたオウムの真似事をしてみよう、と想った傍から亀が鳴いた。今日はかまってやる時間が少なかったからだろうか。賑やかな夜だと想いながら落ち着く為寝る前に珈琲を飲む。眼を閉じオウムのいる森を想像しつつ。

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