例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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日の彼是


 押し入れに入れた整理箪笥の引き出しを開け春夏用の衣類を出し、引き出しに敷いた新聞紙を新しいものに替える。引き出しに黴の臭いはなくよかったと想いながら秋冬物の衣類を入れていく。晴れた日の続く春の日のお決まりの作業。ただひとつ以前と違うのは、或の独特の匂いのする樟脳でなく、花の香りを真似したものなのか、甘い匂いのする防虫剤を乗せるようになったこと。
 整理箪笥に入らなかった分は、籠に入れ防虫剤を乗せ不織布で包み整理箪笥の上に置いていく。秋になったら何を購入しようか何を編み始めようか、と考えつつ。

 窓際に置いた鉢植えのブーゲンビリアを覗き込み、此れと此れと・・・、此れなんて蕾をつける部分ではないだろうかと考え込み、洗い物をするのに冬のようにはお湯を使わなくなり、だんだん元気になってきた爪を見てはこれからあれやあれが容易くできるようになると胸を弾ませる。

 これで炬燵布団を干し炬燵と机と換え、羽毛布団をやめてしまえば冬の残りまで消える。
 日の彼是を繰り返し年の彼是を繰り返し過ぎていくだけのような日々。けれど季節を入れ替えるのに時間が掛かることを考えただけでも、壱日壱日が愛おしくなる。
 明日もまた何かをみつけにいこう。きっと其れもよく知っているものだろうけれど。

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