時
2024, Nov 20
暦を購入する季節になったのかと想いながら、目をやっただけで通り過ぎる。
きっと鳥も猫も亀も季節を知っている。自身の暦を持っている。稀に、あっ此の瞬間と想うこともあたっりするけれど、残念ながら自分には暦がない。
急にご飯を食べなくなった亀にそうか・・・と想い、家で過ごす際裸足なのに変わりはないものの取り敢えず冬用のスリッパを出した。季節と並べず、そんなふうに季節の少し後を辿っている。
何故或のときあたしが泣いたのかわからないと彼は言ったけれど、ああ云うことを言ったあなたを美いだなと想ったから泣いたの。そんな簡単なことをどう云うふうに言えばいいのかわからなくて、今になって打ち明ける。
でも、遅かったなんて想っていない。もし彼がそのことを憶えていたなら、時間を掛けた後何かしら気付いたのではないと想うから。
ひとりでいるときは部屋の中の扉と云う扉を少しだけ開けておく。区切ることが苦手。自由に行ったり来たりする感覚が好き。
過去も未来も今と云う時に存在するものでしかなく、其処に淡々と呼吸を置く。
見えそうでいていて見えないと想っていると、ふいに現れるもの。或の歌も或の絵も時が運んでくる。
暦は気にしなくていいと何者かが耳元でささやく。きみに刻まれたものを受け止めなさいと。