例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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人参の葉


 人参の葉は森で生きる羊歯に似ていると想う。或の青々とした濃厚な緑の群生、且つ繊細な姿は、あたしが想い描く野生の生き物そのままで、見た途端笑みを浮かべてしまう。
 落とした葉をそのまま花瓶に活けても綺麗だし、ザクザク切ってオリーブ油で炒めたりさっと茹でたりして食べてもおいしい。

 暫く人参を食べていなかったことを思い出し、根の方は皮引きで壱本薄きりにする。味見に口に入れると濃厚な味が口に拡がった。ドレッシングも塩も要らなかった。葉とトマトと蒸し鶏を盛り合わせ夕食にする。
 天麩羅にしたりもしたけれどさっと調理して食べるのおいしいね、と彼に差し出し、彼には缶ビール、自分には最後の薔薇茶を添える。

 毎日休日と言えば休日、そうでないと言えばそうでない毎日が続いている。そのくせ妙に疲れている。自分は精神面の健康が躯に露骨に現れるようだ。
 ときどき襲ってくる強烈な眠気に為す術もなく、植物になりたいなどとつぶやいては時間など構わず倒れるように横になる。壱瞬瞼の裏に現れる緑。余りに美しく泣いてしまった。

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