小雨の降る日
2024, Apr 04
予報では雨が降るのは午后になってからだった。
歯の治療が終え帰ろうとすると、ぽつぽつと降っていた。一応折り畳みの傘をリュクサックに入れてはきたが、しまったままで歩く。
山櫻の下を抜けるとき花びらがひとつふたつと落ちてきて、此れも風流とつぶやく。黒い上着は雨粒のまるい模様をのせるだけで、濡れていると云うほどでもない。
町を流れる小さな川に差し掛かり、橋の下を覗くと水面に小さな波紋が幾つもできていてきれいだった。其れにとても静かだ。誰も歩いていない。
家に着き落ち着いた頃正午となり珈琲を飲む。それともちもちとした白いパンを食べる。
「ハイジ」に出てくる白いパンてどんなだろうと想うことはあるが、調べたりはしない。わからなくてもいいことだってある。そう想うときは後でわかったりすることが多い。出逢う時間と云うものがあるのかもしれない。
雨は止みそうにない。寒いのか亀が寄って来る。亀を抱き時間に身をゆだねる午后になった。
静かな空間。雨音が川の流れに感じられ、時が目に見えるような気がした。