例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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夜は苦手


 夜中に手首が痒くなる。数回掻いても痒みは治まらず、しだいに掻いたところが痛くなりやっと目が開く。ぼうっとしながら起き上がると手首ばかりでなく躯のあちこちが痒い。
 壱番下はやっぱり綿の毛布でないといけなかったんだ、と下着に手を入れあちこち搔きながら暗い廊下を歩く。目はやっと開いているくらいなので灯りはなくてもあっても同じ。台所に行き暗がりのなか卓の隅に置いた薬を探し、食器棚からコップを取り出し、冷蔵庫を開けコップに水を注ぐ。
 薬を飲み終えたらまた暗い廊下を歩いたあと、倒れ込むように布団に入る。
 夜は苦手。眠くてたまらない。たまに夜中にもよおすことがあるけれど、なかなかトイレに起きることができない。参回くらい寝て起きてを繰り返し、トイレに行く頃には夜が明けていたり。

 夜が愉しかったのは子供の頃。意外にも空が明るくて驚いたことや、夏の生温い風や冬の凍えるような冷たさや、知らないことがたくさんあったから眠くても覗いてみたくてひとりで起き出して外へ行ったり何かいろいろさわってみたり・・・。

 オーロラが見られるのだったら起きてもいいな。毎晩布団に入って想うのはそんなこと。
 おばけより人間が怖くなった夜(自分もそうであるのに)。厄介と想うようになってしまった夜。覗いてみようなんてすっかり想わなくなってしまった。

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