一期一会
2025, Feb 12
早朝母の瞼が腫れぼったくなっていた。デイサービスに休みの電話を入れ、眼科を探し、タクシーを呼ぶ。
できて数年も経ってないと想える大きな建物に入っていくと、人が大勢いた。手術もしてもらえる眼科は、此の町では以前大きな病院の中にしかなかったと想う。それができることもあり混んでいるのだろう。
母の名が呼ばれ看護師の方が連れて行ってくれるのを背後から見守り、待合室の椅子に腰掛けると隣に座る女性に声を掛けられた。
やさしい口調とやさしい距離感の人だった。それほど言葉を交わさないうちから其れを感じ取れる人だった。えらいわね、と弐度も想ってもないことを言われ、いえいえと応えたが、弐度目にそう言われた時此の人は親兄弟で何か苦労した人ではないかと想えた。
本当にほんの少し言葉を交わしただけなのに、帰り際彼女は声を掛けてくれ自分もおだいじにと返し別れた。
別れた後、ひととき一緒にいただけでも忘れない人と何年も一緒に過ごしても忘れてしまう人の違いを考えていた。
先生がやさしい人なの、と彼女が教えてくれたが、看護師さんがやさしかったと母も言うので安堵する。
ひと月後の予約をし目薬をもらい、よさそうな眼科をみつけよかったと想い帰宅した。