耳
2024, Mar 12
鬱陶しかったことが気にならなくなっていく。
救急車を呼んだことで町役場の福祉課に電話を入れると連絡先の確認をされたので、叔父の電話番号を消して貰った。
少しづつ除いていく。口で不満を言うのでなく、用紙に記し眼に入れる。口は繰り返しが多くなるが、眼はそうでもない。隣に青空が拡がるのが早い。
デイサービスこそ休んだが起き上がり椅子に座っていられるようになった母は度々愚痴を零す。煩いので其の都度、もう忘れた、思い出したくもない、ときっぱり言うと止してくれる。愚痴を零すなら、毎日佰回くらい死ねとでも記す方が自分はいい。
自身を律することを日常化すると、自身の愚痴を耳に入れずに済む。耳は自分の声を細かに拾ってしまう。耳に塵を棄てることをしたくない。雨の音、風の音、歌声、静寂、無音、声無き声、・・・と素敵な音はたくさんある。そう云う音を聴いていたい。
昼食にミートスパゲティをこしらえると母の頬がゆるんだ。デイサービスでもたまに出るけれど、茹で方が硬く自分も周りも食べられない人が多い、と言う。
やわらかいと言い、完食後おいしかったと声をあげる。彼女の耳にも素敵なものがたくさん入っていけばいいと想う。