例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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思い出す日に


 旋律ばかりでなく演奏も聴きたい。楽器の音ばかりでなく声も聴きたい。歌ならば歌詞も聴きたい。どうしても日本語で聴きたいときもある。

 家の左隣の隣りは駐車場。後ろも道路を隔て廣い駐車場。前は家が建っているが、敷地が廣く半分を駐車場にし貸している。
 回覧板を届ける為、駐車場を横切っていく。「しーえいグランドのー駐車じょー」。横切る都度そこだけ歌ってしまうなあ、と想い。「きよちゃんのお土産。」」と、ライブに行ってきた彼が渡してくれたものをまた想い。

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瞬間


 寒さにふるえ暖房する伍月の始まり、雨音は大きくラジカセの音量を上げる。
 瞬間、の次にやってきたのは倖せ。けれど、それもまた過去に。瞬間毎あたしは移動している。過去は全て脳に刻まれたものであり、此処にはない。

 あたしが辿った道はあたしの脳の中に。あなたが見ている世界はあなたの脳の中に。
 どちらが正しいかでなく、どちらもあやふやで脆くはあるけれど、どちらもかけがえのないもの。優劣で語る必要も、互いを打ち消す必要もない。

 ブルーズが好きだと言ったの。漆曲目はトーン・アンド・フレイド。休日にレコード店に連れて行ってくれた人を思い出す。其れもみな過去のこと。あたしの記憶。
 けれど瞬間やってきたのは倖せ。
 頭をゆらし刻む律動、律動、律動、・・・。弾け飛び散っている過去。瞬間、全てひとつのうねりに。伸ばした腕があなたと交わる。

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すかんぽ


 此の参日ばかりで土手はすかんぽをいっぱいにしていた。それが高層ビルから見た人のように感じられ、気が付くと歌をつくりうたっていた。雉が飛び出したのは出来事そのまま。

 青い空は 夢を砕く 黒い空は 風を落とす
 荒れ野に立つ すかんぽは まるで人のよう 耐えている
  何千もの泪 何千もの諦め そして無数の祈り
  生きる力は弱く 命は短い 願いを種に託し消えていく
 どうぞ 此のひと粒が 形を成しますように
 絲でつないだ指輪に すかんぽも笑い 隠れていた雉も飛び出して

 ひと際赤く染まったすかんぽを折り、自転車籠に入れる。しろつめ草にあかつめ草も摘み自転車籠に入れた。
 家に帰り花瓶に活けると、それはそれは素敵なことになった。野原を家の中まで持ってきてしまったようで、子供の頃庭に咲いていたたんぽぽやすみれを摘んではコップに飾っていたことや、大人になってからはれんげ草摘みにいそしんだ日々を思い出す。
 それにしても、家具にしろ何にしろ、野の花のなんて似合う家だこと・・・。

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NO MUSIC,NO LIFE.


 コンビニエンスストアを出ると、もう待ちきれなかった。駐車場を横切りながら封を開けていた。裏を見て初めて、インターネットで予約購入したものはUK盤だとわかった。UK盤なら問題ないが、国内盤は伍月発売と知る。
 ローリング・ストーンズさえ購入する気になれず過ごしてしまった。オリジナルアルバムも弐、参作抜けていると想う。
 「IT’S ONLY ROCK’N’ROLL」から始まる1972年から1974年までのセッションが詰まったストーンズのアルバムに、ぼろぼろ泣いてしまう。リアルタイムで聴いたことのない音。可愛らしいと想い泣き、想った後でストーンズを可愛らしいと想った自分に泣く。
 此れを購入する気になったこと。聴けたこと。今日あたしが生きていること。今日まで生きていること。其れをストーンズを通し想った。
 音楽や歌は、其の時代の空気や個人の想いごと胸に真っ直ぐ突き刺さってくる。救いと云うものが自分にもあるなら、其れは歌だった。他にない。

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それで充分


 黒いものをまとめて洗濯する。客室には茣蓙のカーペットを敷き、リラのひと枝を乾燥花にしようと窓辺に吊るし、買ってきた檸檬果汁を冷蔵庫に入れる。

 ひとつ歳が増えたことをすっかり忘れていて笑う。
 伍月の連休も関係ないものになってしまったが、今日の日付と季節がわかっていればそれでいい。
 壱日毎緑を増す鉢植えの植物たち。其の隣で呼吸する自分。それで充分。

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