炭酸水
2026, Sep 04
蓋を開ける都度あんなにもと想うほど逸る気持ちにさせられていたのに、玖月になり急に炭酸水は色褪せてしまった。
お気に入りのリトルミイのコップに注いでも、檸檬果汁を足しても、淋しさだけが胸に押し寄せる。
小さな泡がひとつひとつ弾ける都度、夢を見ていた。其の大半は彼の夢。
熱が冷めたらまた静かに過ごしていくことだけを考えよう。
椅子に腰掛けると、いつのまにか片足を立てる癖がついた。膝の上に小さなまるい湖を見ては、何処からか飛んできた奇妙な鳥と頭上を渡る風を思い出し、気が付くと膝を撫でていた。
あれはふたりで見ていた夏毎の風景。あたしの手にはいつもオレンヂの味の炭酸水。