例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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箒と塵取り


 外を掃除するのに使っている箒と塵取りはふた組。表と裏と掃除するのにふた組あると勝手がいい。傷みが激しく、買い換えなければと想っていると、今朝とうとう塵取りのひとつが使えなくなってしまった。
 班で行う道路の清掃中、昨日の雨で泥が溜まっていたこともあり、重みに耐えきれずプラスチック制の塵取りはいとも簡単に真っ二つになった。

 弐階で使っているスチール製の塵取りを外用のひとつにし、壱階で使っているプラスチック制の塵取りを弐階用にし、壱階用のを購入しようかと考える。どうせなら箒も一緒に購入しようか。
 外で使うにも外用のシダの箒より屋内用の箒の方が使いやすいような気がし、これまで屋内用が古くなると外用にしてきた。外用と言っても下はコンクリート。大きな樹木もないので竹箒も要らない。

 此処に越してくるとき購入した片手で持てる掃除機は、ひと月に壱度使うくらい。箒ばかり使ってしまう。棕櫚でこしらえてあるのがいいだろうか。
 幼少の頃道の向こうに棕櫚の樹が何本もあった。其の大きな葉で父が箒をこしらえていたのを思い出す。想ったよりあたしは其の頃の暮らしが好きだったようで、結構真似していることに気付く。

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櫻色の羊


 灰と櫻色の格子柄の布をみつけ、タオル地でこしらえている上着の前立てにする。襟の始末にも使ってみる。タオル地が余ったのでポケットにし上部の始末には此れも格子柄の布を使おうかと想う。
 試しに羽織った感覚はフリースジャケットに似ていた。壱、弐度購入し着ていたことはあるが、洗濯機はいっぱいになるわ、羊毛風を保つには手入れが必要で、普段着には向かないと想ったが、タオル地なら手入れも要らず部屋着に丁度いいだろう。
 それにしても自分が着るにはなんとも可愛らしいものになってしまい、母がいたらと想わずにはいられない。格子柄の布は襟の処だけにすれば、自分が着るでもおかしくないだろうか。
 ・・・いったいいつになれば仕上がるのか。このままにしてしまうには、軽さとあたたかさが気持ちいい。

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カラーボックス


 窓際の暗さが気になり、カラーボックスを横にした。母の持っていたものも含め、家にあるカラーボックスはこれで全て横置きになった。上にいろいろ物を乗せても、横置きにした方がすっきりして見える。
 思い出もあるので書架は棄てられないだろうが、物を高く積み上げて暮らすことはもうないだろう。

 家らしく部屋らしくなっていく空間を、彼はどう想っているだろうか。
 昨夜、人感センサーのライトがひとりでについた。赤いスリッパを買ったのかあ、なんて笑っているのだろうか。
 彼の好きなCDも彼の弾いていたギターもさわれずにいるけれど、カラーボックスに腰掛けてギターの絃を換える彼を想像し、端をちょっと空けてみた。
 空間のあちこちに小さな空間。顔つきまでそうして過ごしていこうか。

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冬用のスリッパとLEDランタン


 冬になると床を歩き廻るには裸足では冷たい。早くも手頃なものをみつけ想わず購入してしまった。
 みつけたのは、リトルミイの刺繍がほどこされている赤いスリッパ。可愛らしいものは苦手と言いながら、リトルミイだけは別とばかりに常になにかしら家にある。一緒に懐中電灯にもなるLEDランタンも購入したが、其処にもリトルミイが描かれている。

 懐中電灯にもなるLEDランタンは、最初スイカのペンギンが描かれているものをみつけた。会員登録までしたけれど、クレジットカード決済か何処だったかのPAY払いしかなく諦めてしまった。
 とても大きな懐中電灯か細く小さい懐中電灯しか家になく、手に合うものを欲しく想っていたが、リトルミイまでついてくるとは想わなかった。

 はっきりものを述べるときの内容こそが肝心。リトルミイときたら、あたしの胸の汚れを落としてくれることばかり。
 此の冬は少しはいい冬になるだろうか。

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小雨の降る日


 診療は休みで院内の待合室は暗く誰も腰掛けていない。
 バスを待つため入り口に置いてある椅子に腰掛けていると、面会にやってきたらしい人に声を掛けられる。雨が降ってきちゃったよ、と彼が言い、今日もですね、とあたしは応じる。

 外の物干し竿に交互に掛けられる傘と雨合羽。窓掃除は暫くしていない。
 夏前に挿し木にした紫陽花の脇に、小さな葉が出てきているのを見ては、雨も悪くないと笑う。

 濡れるのは嫌いじゃあない。
 麻のシャツもジーンズも黒なので、雨粒がすぐに模様を作る。濡れながら雨粒をのせた曼殊沙華に声を掛ける。同じだね。

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