例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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櫻色の羊


 灰と櫻色の格子柄の布をみつけ、タオル地でこしらえている上着の前立てにする。襟の始末にも使ってみる。タオル地が余ったのでポケットにし上部の始末には此れも格子柄の布を使おうかと想う。
 試しに羽織った感覚はフリースジャケットに似ていた。壱、弐度購入し着ていたことはあるが、洗濯機はいっぱいになるわ、羊毛風を保つには手入れが必要で、普段着には向かないと想ったが、タオル地なら手入れも要らず部屋着に丁度いいだろう。
 それにしても自分が着るにはなんとも可愛らしいものになってしまい、母がいたらと想わずにはいられない。格子柄の布は襟の処だけにすれば、自分が着るでもおかしくないだろうか。
 ・・・いったいいつになれば仕上がるのか。このままにしてしまうには、軽さとあたたかさが気持ちいい。

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カラーボックス


 窓際の暗さが気になり、カラーボックスを横にした。母の持っていたものも含め、家にあるカラーボックスはこれで全て横置きになった。上にいろいろ物を乗せても、横置きにした方がすっきりして見える。
 思い出もあるので書架は棄てられないだろうが、物を高く積み上げて暮らすことはもうないだろう。

 家らしく部屋らしくなっていく空間を、彼はどう想っているだろうか。
 昨夜、人感センサーのライトがひとりでについた。赤いスリッパを買ったのかあ、なんて笑っているのだろうか。
 彼の好きなCDも彼の弾いていたギターもさわれずにいるけれど、カラーボックスに腰掛けてギターの絃を換える彼を想像し、端をちょっと空けてみた。
 空間のあちこちに小さな空間。顔つきまでそうして過ごしていこうか。

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冬用のスリッパとLEDランタン


 冬になると床を歩き廻るには裸足では冷たい。早くも手頃なものをみつけ想わず購入してしまった。
 みつけたのは、リトルミイの刺繍がほどこされている赤いスリッパ。可愛らしいものは苦手と言いながら、リトルミイだけは別とばかりに常になにかしら家にある。一緒に懐中電灯にもなるLEDランタンも購入したが、其処にもリトルミイが描かれている。

 懐中電灯にもなるLEDランタンは、最初スイカのペンギンが描かれているものをみつけた。会員登録までしたけれど、クレジットカード決済か何処だったかのPAY払いしかなく諦めてしまった。
 とても大きな懐中電灯か細く小さい懐中電灯しか家になく、手に合うものを欲しく想っていたが、リトルミイまでついてくるとは想わなかった。

 はっきりものを述べるときの内容こそが肝心。リトルミイときたら、あたしの胸の汚れを落としてくれることばかり。
 此の冬は少しはいい冬になるだろうか。

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小雨の降る日


 診療は休みで院内の待合室は暗く誰も腰掛けていない。
 バスを待つため入り口に置いてある椅子に腰掛けていると、面会にやってきたらしい人に声を掛けられる。雨が降ってきちゃったよ、と彼が言い、今日もですね、とあたしは応じる。

 外の物干し竿に交互に掛けられる傘と雨合羽。窓掃除は暫くしていない。
 夏前に挿し木にした紫陽花の脇に、小さな葉が出てきているのを見ては、雨も悪くないと笑う。

 濡れるのは嫌いじゃあない。
 麻のシャツもジーンズも黒なので、雨粒がすぐに模様を作る。濡れながら雨粒をのせた曼殊沙華に声を掛ける。同じだね。

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作り直し


 部屋着にも寝間着にもなるタオルでこしらえたワンピースは、着用の時期が難しい。夏用の寝間着にするには生地が厚過ぎた。ズボンに作り直そうか、長袖のTシャツに作り直そうか、考えていたが、上着に作り直すことに決めた。
 これからやってくる長い長い冬。羽織りものは幾つあっても困らない。洗濯しても壱日では乾かない冷えた季節。弐階に避難する日々を想う。

 弐階ももう少し住みやすくした方がいいだろうな。冷えて指先がかじかむ前に作り直そう。
 台所も未だに気になる箇所がある。いったいいつになれば落ち着くのか。壱年後弐年後参年後の未来を具体的に想像できずにいる。

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