例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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暮れてゆく


 終わりになった曼殊沙華。熟した柿の実。色付いた姫林檎の実。
 日暮れが近付くにつれ花開くPink Baby's Breath。
 暮れてゆく空は赫く、赫く。林檎がひとつ胸へ転がる。あたたかくて淋しい。淋しくてあたたかな。

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籐編みの吊り籠


 小さなリングを伍つ繋げてつけて籐編みの吊り籠は完成した。リングの部分を完成させるだけで壱時間半。
 新たに始めるのは次からでいい?、と先生に訊かれ頷く。いいの?と先生の代わりに教えることができる方が苦笑いしながら念を押すように訊いてくれたので、うんうんと笑って頷いて返した。
 疲れてしまい、残り丗分は他の人のを見せてもらったり会話をして愉しんだ。

 あたしと同じ今期から始めた方は、ふたつめの作品にキャンディーボックスを選び完成させていた。蓋があるとそんなにも違うのかと驚き、可愛いと声を掛けると、蓋があると違うよねと言い蓋を取り、籠の方は底の編み方がすかすかになってしまったと笑う。
 同じように苦戦し同じように集中し完成させたものは、自分で見ると同じように粗がわかるのだろう。そして同じように他人のを見ては、可愛いと声を漏らす。

 次はどんなものができるのだろう。自分のはもちろん、他人のものも愉しみにしている。

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それもそれで


 花を求めに行くと店は臨時休業していた。
 先週求めたローゼルは枝が短くなり、小菊は半分になった。ローゼルはローゼルだけで、小菊は小菊だけで、其々花瓶に活ける。のびのびと枝や茎を拡げた花も華やかで素敵なら、小ぢんまりとまとまった花も愛らしく素敵だ。
 そんな花たちの隣で、彼の横に置いた林檎に手を伸ばし齧りつく。半分に切り種をくり抜きバターを詰め、トースターで焼いて食べようと想っていたのに、それもそれで素敵。
 今日も雨に濡れてしまった。くしゃくしゃになった髪。さっきまで首筋がすうすうしていた。それもそれで、と指先で髪をすくうように頭を撫でた。

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オクトーバー・ムーン


 拾月。連想するのは真珠のイヤリング。
 そして肆日。連想するのは、ジャニス・ジョプリン、蘭丸、渋谷公会堂、新たな日々。

 過去に胸に留まったものは、今日も生きている。新たに足されていくものと混じりあい自身の支えになろうとするので、仕方ないなあと椅子から立ち上がる。
 今日からまた新たな日々。パンク修理に出した自転車を受け取りに行く。

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七七日忌


 晴れていると泣くなあ。晴れていると空が見られなくなってしまうなあ。
 雲ひとつない青空がずっと苦手。

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