例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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冬用のスリッパとLEDランタン


 冬になると床を歩き廻るには裸足では冷たい。早くも手頃なものをみつけ想わず購入してしまった。
 みつけたのは、リトルミイの刺繍がほどこされている赤いスリッパ。可愛らしいものは苦手と言いながら、リトルミイだけは別とばかりに常になにかしら家にある。一緒に懐中電灯にもなるLEDランタンも購入したが、其処にもリトルミイが描かれている。

 懐中電灯にもなるLEDランタンは、最初スイカのペンギンが描かれているものをみつけた。会員登録までしたけれど、クレジットカード決済か何処だったかのPAY払いしかなく諦めてしまった。
 とても大きな懐中電灯か細く小さい懐中電灯しか家になく、手に合うものを欲しく想っていたが、リトルミイまでついてくるとは想わなかった。

 はっきりものを述べるときの内容こそが肝心。リトルミイときたら、あたしの胸の汚れを落としてくれることばかり。
 此の冬は少しはいい冬になるだろうか。

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小雨の降る日


 診療は休みで院内の待合室は暗く誰も腰掛けていない。
 バスを待つため入り口に置いてある椅子に腰掛けていると、面会にやってきたらしい人に声を掛けられる。雨が降ってきちゃったよ、と彼が言い、今日もですね、とあたしは応じる。

 外の物干し竿に交互に掛けられる傘と雨合羽。窓掃除は暫くしていない。
 夏前に挿し木にした紫陽花の脇に、小さな葉が出てきているのを見ては、雨も悪くないと笑う。

 濡れるのは嫌いじゃあない。
 麻のシャツもジーンズも黒なので、雨粒がすぐに模様を作る。濡れながら雨粒をのせた曼殊沙華に声を掛ける。同じだね。

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作り直し


 部屋着にも寝間着にもなるタオルでこしらえたワンピースは、着用の時期が難しい。夏用の寝間着にするには生地が厚過ぎた。ズボンに作り直そうか、長袖のTシャツに作り直そうか、考えていたが、上着に作り直すことに決めた。
 これからやってくる長い長い冬。羽織りものは幾つあっても困らない。洗濯しても壱日では乾かない冷えた季節。弐階に避難する日々を想う。

 弐階ももう少し住みやすくした方がいいだろうな。冷えて指先がかじかむ前に作り直そう。
 台所も未だに気になる箇所がある。いったいいつになれば落ち着くのか。壱年後弐年後参年後の未来を具体的に想像できずにいる。

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答はない


 雨が烈しい。
 東側の国道から此処までゆるい下り坂になっている。けれど更に先に進むと土地が低くなっているようで、表通りも裏通りも水ははけてしまう。浸水はさほど心配していない。
 問題は近くを流れる川で、あふれたなら弐階へあがればなんとか水嵩は凌げるだろうが、家ごと流されたならどうなるのだろう。それで終わりになるならそれでいいのだけれど、生き残ってしまったとき、彼に関するものと其れを書きとめた詩と、覚えた歌を失っていたら、生きていこうと想えるだろうか。

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佇まい


 昨日夜空を飾った大輪の花火の何倍もあるかのような美しさで佇む曼殊沙華に、凛としている姿とはそう云うものかと想う。

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