静物と自身
2024, Apr 19
棄ててもいいと想った冬物の長袖Tシャツを、ふと直してみようと云う気になり針と絲を持ち出す。黒と白と茶と参枚あり、茶は既に寝間着にしたものの、袖の長さが気になって仕様がない。上着の下に着用していたときはそう想わなかった。草臥れたことにより、だらしなく感じてしまうのだろう。
初めに白いシャツを直すことにした。リブ袖が合わさったところで折り縫ってみると、躯に合っているだけすっきりして見え、そうだらしなく感じない。部屋着にできそうだ。ただ、余りいい直し方とは言えない。
黒いシャツは絲をほどきリブ袖を離し、袖丈を縮めてから離したリブ袖を戻した。縫い目こそがたがただけれど、白いシャツよりよくできた。
棄てるものと残すものを分ける作業はまだ続いている。ざっくりとした仕分けは終えひとつひとつ見直しているものの、中断することが数々。
静物を自分と変わりなく見てしまう。
感情は自身が持てばいいものであり、他人に訴えかけたり他人を動かすことにしたくない。静物はたたずまいで人を魅了する。自然に此方の感情が静物へと流れ静物と合わさっていくような感覚を覚えたとき、静物は自分と同じ生き物になり、また其のとき自分は静物のようになりたいと想う。
刻々と過ぎていく時間。足掻くなら闘うより贅沢な時間の使い方をしたい。