例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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青物


 冷蔵庫に残っていたのは賞味期限の切れたアンチョビ。買ってきた春きゃべつの青い葉をとり細かく刻み、アンチョビと一緒にオリーブ油で炒め、塩胡椒を振る代わりに人参ドレッシングで和えた。
 他に何を食べようかと想いながら箸をつけると、いつもなら弐日分になる保存容器いっぱいにこしらえたきゃべつ炒めは完食となった。他に何も要らなかった。
 昨日は昨日で買ってきたレタスにトマトと蒸した鶏肉で夕食にした。

 かあさんとふたりの夕食は煮物が多い。大根の煮物に魚の煮物に根菜煮にきんぴらごぼう・・・。ひとりだと余り煮物はこしらえない。其れは其れで愉しい食事になるけれど、参日も青物を口にしないと無性に躯はレタスやきゃべつを欲しがる。
 高齢になると躯が求めなくなるのだろうか。きゃべつの千切りこそよく食べていたものの、あとは野菜ジュースで済ませていた父を思い出す。

 夏になったら胡瓜にお味噌をつけて食べたいな。其れも種ができるまで育ってしまった大きな胡瓜で。
 里芋の大きな葉を見ているのが好きだった自分。緑系の絵具ばかり使って絵を描いていた自分。時々森へ行きたくなる自分。かつて新緑がともだちだった。
 あたしはいつか森に飛ぶ羽虫にでもなる気でいるのかもしれない。

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