贈り物
2025, Mar 16
綿でありながら麻のような白色ではあるものの薄く灰がかかったようなワンピースをセーターの上から着て袖と丈を見る。直さなくても着られそうだと両手を拡げ壱回転する。
彼と離れていくようで、其の日を迎えるのが嫌だった。
自ら死を選ぶのはもっと(何より)格好悪い、と記したことを彼自身は憶えているだろうか。そんな言葉たちの元でぎりぎりのところでこちら側に留まっていたあたしを、彼は気付いていただろうか。
(生きることを)愉しまなきゃ、と彼が言っていたので、あたしは服を買い花を摘み、きっと其の日ケーキも食べる。其の日まるで合わせるかのよう忌まわしい事柄が終結することも決まっている。
憂鬱な気持ちとそうでない気持ちが交互にやってきてはあたしを突いている。