菜の花、たんぽぽ、山吹
2025, Feb 03
水仙とねこやなぎを活けた花瓶に菜の花が足される。土手で抜いてこようかと想っていたら、床屋に行った母が抱えて帰宅した。
菜の花は床に零れるので花瓶の周りに薄紙を張り飾ると豪華な雰囲気になった。普通の白い用紙でなく、鳳凰が描かれた青い花瓶に似合いそうな用紙を今度買ってこようと想ったくらい部屋が明るくなった。
春は遠い。でも其処へ向かっていることを花ひとつにしても感じる。
戸棚が届いたら、陽の向きが変わったら、・・・。したいことが沢山あって、箪笥の引き出しを開ける。取り出しのは、地味な色合いが気に入っているたんぽぽの柄のハンカチ。其れを拡げて机に掛けた。
花の中を通り過ぎる。美しい時の中を通過していく。寄り道が絶えないあたしの先で彼が待っている。嗚呼、あなたは山吹の花が好きだったな、と想う。