例えば秘密のノートに記すように。

       cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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苺のゼリー


 全てに目を通すのはできないことだと想う。間違いや気付かないことは誰にでもある。但し、明らかな間違いを故意に放っておく行為であれば、拾年後でも廿年後でもつけは廻ってくることは肝に銘じなければ。
 被害に遭っていたのは自分だったのに、いつの間にか自分は部外者のようになり相手を待つだけになっている。

 進捗を聞きに行った帰り、駅の改札を抜けると驚くほどの列が出来ていた。定期券を求める為の列らしかった。肆月になったことを意識する。
 列を抜け、お菓子屋さんに入る。入り口が列で塞がれてしまっているからか、客が少なく遠慮なくじっくり見て選べる。チョコレイトがコーティングされたパイ菓子の入った小袋と、彼が好きだった果実のゼリーがみっつ入った小袋を買う。

 あなたは心配したけれど、大丈夫だって想っていた。利己的でも用意周到でなく適当な人物だと判断したので。弐年半の歳月が経過しても解決には至っていないけれど、終わればあたしは素敵なものを手に入れられると想う。
 傘をたたみ雨を払い家に入る。
 桃と苺と蜜柑と、ひとつめはどれがいいだろう。ちょっと悩んで苺のゼリーを彼の前に置いた。

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