櫻流し
2024, Apr 10
激しい雨が靴の中まで入り込む。歯医者まで拾分の道のりだから、なんとかなると想ったのに。彼の使っていた大きなビニイル傘を借りても、早くも靴下や膝が濡れてしまっていた。
山櫻は終わるとき白色でなくなる。遊歩道には薄紅色の花びらが敷き詰められていた。
帰りも櫻の下を歩いてきた。
上着に付いたのだろうか。花びらが部屋の前に落ちているのをみつけ、広い上げカエルの人形の頭にのせたところ、夕刻には無くなっていた。探してもみつからない。
また急に言葉で言い表せない気持ちに襲われて、半分だけにしておこうと想った抹茶味のアイスクリイムを残さず食べてしまった。