苺のケーキ
2025, Feb 15
風がなく(微風)おだやな朝になり徒歩でケーキ屋まで行く。此の町は随分と廣い町なことを改めて知る。今日も知らない風景を眼にすることになった。端から端まで休憩時間を含めると自転車で半日かかるかもしれない。
あたしが編んだベイビーブルーのセーターを着て帰宅した母にケーキを出すと喜んで食べてくれた。朝、誕生日のことは何も言ってなかったのにと言うが、往復壱時間かかる店に行くには風が強ければ諦めるしかない。
ふと何かを想うとき頭に浮かぶのは以前過ごした町の風景。何でもない交差点や遊歩道や陸橋から見下ろした光景。そして其れを辿っていくと其処に必ず彼がいる。
苺のケーキでさえ以前過ごした町で食べたケーキが浮かぶ。毎日毎日あたしは夢のような時間を食べて今日を生きる。明日の道へ自分を繋げられるよう。世界を少し拡げ、今日眼にしたことを彼に話して聞かせられるよう。(そう想うことで自身の均衡を保っているのかもしれない。)