膝の上
2024, Apr 07
膝の上に亀が乗る。おとなしくあたしの顔をみつめている。できることは動かずにいることぐらい。
今日は其処で眠ってしまうこともなく、暫くすると下りて行った。小さい亀の方ならともかく大きい方の亀ともなると冷たいうえに重いので、我慢できずに下りてもらうことも数々。
何故膝の上なのだろうと想うけれど、乗るとなったら其処なんだろう。亀でも猫でも人でもみな同じだ。
膝の上に乗る重みとやさしい感触。胸の内にぽっと明かりが灯ったと想えるのは、其れが命に通じているからだろう。
亀の真似ではないが、鏡台の椅子にあまえるように顔を乗せもたれかかる。ラバーウッドは硬く何分ももたない。なのにさっきの亀の表情と自分の表情が重なって想える。おだやかで満足そうな顔つきを見せていた亀。また気が向いたらおいで。