耳と眼と
2025, Mar 15
大雑把な母は、日向に置いておけば大丈夫だから、と元気のなくなった姫林檎の鉢植えの場所を替えただけだった。
茎や葉に付着しているものが気になり、調べて其れが白カビなことが判った。うどんこ病に、と記された容器をみつけ、早速全体に液を吹きかける。
母はおそらく耳で聞き取りこれまでいろいろしてきたのだろう。病院で出された薬の袋を渡しても、朝飲めばいいのか夜飲めばいいのかといちいち訊いてくる。父は耳でなく眼を使っていたのかと想う。薬の袋を渡すと眼鏡を掛け壱行壱行記された文字を確認していた。自分も多くは眼で確認する方で、夫もまたそうだった。
自分と異なり物を見ない記されたものを読まない母が理解できず困ったなと想っていたが、口頭で伝えればよかったのだと知る。
が、文字を好む自分はそれで時々母に疲弊する。