終わらない歌をうたおう
2024, Jul 11
必要なものを思い出し夕刻伍時半に家を出る。こんなことは本当に久し振り。いつもなら亀を家に入れ、そろそろ雨戸を閉めようかなんて想っている頃。
公園を横切ったとき、風が吹いてきた。夕刻なので日焼け止めだけにし日傘はさしていない。雨傘も用意してこなかったので心配になる。こんなとき彼とふたりだったら何も心配しない。雷雨の中びしょ濡れになって歩いても、何故こんな目にともついていないとも想ったことはなかった。雷が怖く、ぎゃあぎゃあと五月蠅く声をあげることはあっても。
散歩をしていても十中八九遠廻りをする彼に、ぶーぶー文句を言ったり、彼の前ではおとなしい自分など何処かへ行ってしまっていた。好き勝手に振舞っていただけに、記憶は殆ど愉しかったことで埋まっている。
雨が降るか、土砂降りがくるか、心配になるなんて、と笑う。ずうっと昔そんな心配していたことがあった気もするけれど、忘れてしまった。
今日はチバユウスケの誕生日。
あたしは未だに父の齢を数えている。終わりなんてないのかもしれない。
帰り道、駅を横切ったときまた風が吹いてきたので、雷雨になるかもしれないから来て、と彼にお願いする。これでずぶ濡れになっても家まで歩けると想った。