例えば秘密のノートに記すように。

cancion-de-la-abeja(みつばちのささやき)          

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終わらない歌をうたおう


 必要なものを思い出し夕刻伍時半に家を出る。こんなことは本当に久し振り。いつもなら亀を家に入れ、そろそろ雨戸を閉めようかなんて想っている頃。

 公園を横切ったとき、風が吹いてきた。夕刻なので日焼け止めだけにし日傘はさしていない。雨傘も用意してこなかったので心配になる。こんなとき彼とふたりだったら何も心配しない。雷雨の中びしょ濡れになって歩いても、何故こんな目にともついていないとも想ったことはなかった。雷が怖く、ぎゃあぎゃあと五月蠅く声をあげることはあっても。
 散歩をしていても十中八九遠廻りをする彼に、ぶーぶー文句を言ったり、彼の前ではおとなしい自分など何処かへ行ってしまっていた。好き勝手に振舞っていただけに、記憶は殆ど愉しかったことで埋まっている。
 雨が降るか、土砂降りがくるか、心配になるなんて、と笑う。ずうっと昔そんな心配していたことがあった気もするけれど、忘れてしまった。

 今日はチバユウスケの誕生日。
 あたしは未だに父の齢を数えている。終わりなんてないのかもしれない。
 帰り道、駅を横切ったときまた風が吹いてきたので、雷雨になるかもしれないから来て、と彼にお願いする。これでずぶ濡れになっても家まで歩けると想った。

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