竜胆の立ち姿
2024, Jul 15
竜胆を壱輪買い求める。紺色をした真っ直ぐな姿は清々しく、電車とバスに揺られた疲れがすっと引いていく気がした。
コップ壱杯の水をごくごくと飲んだ後、鏡の前に立ち髪をほどき鋏を入れる。既に参度鋏を入れている。なのに気に入った長さにならない。想ったより伸びてしまっていたのと不器用<13、な自分にこんなときは何とも言えない気持ちになる。
今日は思い切ってうんと鋏を入れた。・・・筈だったのに、鏡に背を寫すとやはり長かった。諦めずにまた鋏を入れたが、気に入らない。性懲りもなく参度目に挑むと、これならと想えるくらいの長さになった。
バケツを覗くと笑ってしまうくらい自分の髪が溜まっている。ふうっと息を吐き、冷蔵庫を開け水を取り出しもう壱度コップ壱杯の水をごくごくと飲んだ。そうした後髪をきゅっと結わえ、口もきゅっと結んで背筋を伸ばし、鏡の前に立った。
例えるなら竜胆。姿を見習いたい。
彼の寫眞の脇に飾ると、竜胆はますます凛とし眼に映った。